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悪化する東京電力福島第1原発の海洋汚染

悪化する東京電力福島第1原発の海洋汚染

2013年3月に次のような警告が発せられている。

セシウム17兆ベクレル流出か 原発港湾内濃度から試算

 東京電力福島第1原発の港湾内で海水の放射性セシウムの濃度が下がりにくい状態が続いていることに関し、汚染水の海への流出が止まったとされる2011年6月からの約1年4カ月間に、計約17兆ベクレルの放射性セシウムを含む汚染水が海に流れ込んだ恐れがあるとの試算を、東京海洋大の神田穣太教授がまとめた。

 東電は、11年4月に1週間で意図的に海に放出した汚染水に含まれる放射性物質の総量を、約1500億ベクレルと推計しているが、その100倍以上に当たる。

 神田教授は「現在も地下水や配管を通じて流出が続いている可能性がある。すぐに調査すべきだ」と指摘している。

2013/03/23 18:29 【共同通信

2013年7月10日

2013年7月。警告にもかかわらず無策で放置した結果。経緯から考えうる最悪の事態は、17兆ベクレルの100倍がこれから一年半の間に流出すること。

高濃度の汚染水 海に拡散か 7月10日 17時10分

東京電力福島第一原子力発電所の海に近い井戸の地下水で放射性物質が高い濃度で検出されている問題で、原子力規制委員会は「高濃度の汚染水が海へ広がっていることが強く疑われる」という見解を示し、専門家も参加したワーキンググループを立ち上げ、原因を究明し対策を検討することになりました。

福島第一原発では、ことし5月以降、海に近い観測用井戸の地下水から放射性物質が高い濃度で検出され、2号機近くで新たに掘った井戸では、採取した水に含まれる放射性のセシウム137の濃度が9日、1リットル当たり2万2000ベクレルと、4日間で100倍余りに上昇しています。 東京電力は、事故直後のおととし4月に2号機の近くで海に流れ出た高濃度の汚染水が地面にしみ込み検出された可能性があると説明していましたが、原子力規制委員会は、10日の会合で、土に吸着されやすいセシウムが3号機や4号機近くの井戸でも検出されているとして、おととしの汚染水だけを理由とするのは疑問があるとしました。

そのうえで、放射性物質が港で採取した海水からも高い値で検出されているとして、「高濃度の汚染水が地中に漏れ出したうえで、海へ広がっていることが強く疑われる」という見解を示し、近く専門家も参加したワーキンググループを立ち上げ、原因究明や対策を検討することになりました。

規制委員会の田中委員長は、記者会見で、「原因を突きとめないと適切な対策ができない。最優先で対策を立てるために、専門的な検討を重ねていく必要がある」と述べました。 東京電力は「規制委員会の指摘に対し今後、真摯に対応したい」と話しています。

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更に次の日2013年7月9日の測定で2号機海側の井戸でセシウム濃度が二割増加。危機的な話なのだが、あまり騒ぎにもなっていないし、東電には過小評価ばかりしてダダ漏れをとめる気がないらしい。「厳密に証明されるまではなにもしない」というのは、この二年なんども主張され実行されてきた「科学的態度」であるが、被害が拡大し多くの被害者が出てから科学的証明がなされたとして、はたしてそのことに、特にこの件においていったいどんな意味があるというのだろうか。

セシウム濃度さらに上昇 福島第一原発2号機の地下水

東京電力は10日、福島第一原発2号機の海側の観測井戸で9日採取した地下水から、1リットルあたり3万3千ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。8日に採取した水に含まれていた量から約2割増えた。

検出されたのは、事故直後の2011年4月に高濃度の汚染水が海に流出した2号機取水口の近くにある「1―2」の井戸。セシウムの内訳は、セシウム134が1万1千ベクレルセシウム137が2万2千ベクレルだった。ストロンチウムなどの値は90万ベクレルで、8日の89万ベクレルからほぼ横ばいだった。

東電は同じ井戸で5日に水を採取。セシウムの量は309ベクレルだったが、8日に採取したところ、約90倍の2万7千ベクレルに増えていた。 2013年7月10日1時46分 朝日

「測定した水に汚染された土が混じってたから高くなった」とか突然東電がいいだしたりしているが、原子炉建屋から地中へ漏れた汚染水が地下水と混ざり、海側へ流れて汚染拡大が生じている、という恐るべき状況が起きていないか、調査するのが当然の態度であろう。そういえば、「海までは拡散に何年もかかる」ってなものすごい意味のないシミュレーションをみせたりしていたなあ。地下水は流れているのである。地中の拡散ではない。

高濃度汚染水、海に拡散か 規制委、地下水混じった疑い

東京電力福島第一原発の観測井戸の地下水から高濃度の放射性物質が検出されている問題で、原子力規制委員会は10日、原子炉建屋にたまった高濃度の汚染水が、地下水と混じって海に今も漏れ出て拡散している疑いが強いと指摘した。規制委は近く作業部会を立ち上げ、原因究明と対策を検討する。

東電は10日、2号機タービン建屋と岸壁の間の「1―2」井戸で9日に採取した水から、セシウムが過去最高の1リットルあたり3万3千ベクレル検出されたと発表。4日間で100倍以上高くなった。3日には港湾で採取した海水から2300ベクレルトリチウムが検出された。

9日に採取した井戸水には土が含まれていたとし、濾過(ろか)して再度測ったところ値が100分の1に減った。このことから、東電はセシウムは土壌に吸着され、地下水には流れ込んでいないとみている。 2013年7月10日21時23分

2013年7月12日

2号機海側だけではなく、4号機海側でも。まさに汚染の拡大、である。

南側井戸で高濃度検出、汚染拡大…福島第一原発

東京電力は12日、福島第一原子力発電所3、4号機近くの井戸水から、ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質を1リットルあたり1400ベクレル検出したと発表。

「3号機近くの配管用トンネルからも汚染水が土壌に漏れ出した可能性がある」との見方を示した。

一連の地下水汚染は、1、2号機周辺の井戸で、法定許容限度(1リットルあたり6万ベクレル)を超える三重水素トリチウム)などが検出されたのが発端。東電は当初、2号機近くの配管用トンネルを汚染源だと推定した。しかし、今回の井戸はこのトンネルから南に約200メートルも離れており、推定への疑問が強まってきた。

二つのトンネルからは一昨年、高濃度汚染水が海に流出した。トンネルの汚染水は、周辺土壌へも染み込んだ可能性がある。

原子力規制委員会は、原子炉建屋などからも汚染水が漏れている可能性を指摘している。

2013年7月12日22時20分 読売新聞)

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こちらは同日の別の記事。井戸「2」でもβ線が増大していることが触れられている。井戸ごとの時系列の変化をプロットしてくれると非常にわかりやすいのだが。

南の井戸でもストロンチウム、福島第一の地中汚染拡大か

【木村俊介】東京電力福島第一原発の建屋近くの地下水から放射性物質が検出されている問題で、東電は12日、これまで高濃度の放射性物質が検出されていた観測井戸より200メートルほど南にある井戸からもストロンチウムなどの放射性物質が検出されたと発表した。建屋の海側の地中で放射性物質の汚染が拡大している可能性がある。

東電によると、3号機タービン建屋の海側にある観測井戸「3」で11日に採取した水から、ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質が1リットルあたり1400ベクレル検出された。地中での汚染が発覚し、詳しい分析が始まった5月以降、この井戸では検出限界値未満が続いていた。東電は「継続してデータを分析しないと、汚染の拡大か判断できない」と説明している。

一方で、高濃度の汚染が確認されていた観測井戸「1」と「3」のほぼ中間にある井戸「2」でも同様の放射性物質が1400ベクレル検出された。9日の採取では910ベクレルだった。

2013年7月12日13時5分

7月15日

漏洩に関する新しい情報はないが、産みへの漏出を阻止する工事が8日にはじまったことが述べられている。また、経緯のよいまとめになっている共同の記事。ところで「土がコンタミ」とか東電の記者会見でいっていたのに、8日には工事始めてたって矛盾していないか。現場の判断かもな。

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【福島第1原発の現状】 井戸で汚染水相次ぐ 土の壁で海への流出阻止

東京電力福島第1原発敷地内の海側観測用井戸で、高濃度の放射性物質の検出が止まらない。原子力規制委員会は「汚染水の海洋への拡散が疑われる」とみており、東電は海への流出を防ぐため護岸付近を地盤改良し、「土の壁」を作る工事を急ピッチで進めている。

 ▽急上昇

6月19日、2号機タービン建屋海側の井戸の水で1リットル当たり千ベクレルストロンチウムと50万ベクレルトリチウムを検出したことが判明。昨年11~12月に設置した三つの井戸の一つで5月24日に採取した水だった。

5月以降、港湾内の海水のトリチウム濃度が上昇傾向だったため、地中の状況を調べようと約半年ぶりに測定、昨年12月からストロンチウムは約116倍、トリチウムは約17倍の急上昇だった。

東電は、この井戸の半径約40メートル圏内に四つの井戸を新たに掘って監視を強化。一方、原因については、事故直後の2011年4月に極めて高濃度の汚染水漏れが判明した2号機タービン建屋からの連絡通路につながる作業用の穴を汚染源と見立て、海への漏えいは否定的だった。

 ▽拡散

だが、1号機取水口の北側で6月21日に採取した港湾内の海水から、事故後最高値となる1100ベクレル(法定基準は6万ベクレル)のトリチウムを検出。その後も上昇は続き、7月3日には2300ベクレル検出した。

さらに新設井戸でも高濃度の放射性物質が出た。8日採取の水からトリチウムを63万ベクレル、別の井戸ではストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質を90万ベクレル検出した。

汚染源と見立てた作業用の穴から遠い井戸でも濃度の高いトリチウムが出たことなどから、規制委は「高濃度の汚染水が地中に漏れ、海洋への拡散が起こっていることが強く疑われる」と東電に疑問を呈した。

▽土の壁

海への流出を防ぐ工事は8日に始まった。2種類の薬剤を一定の割合で混ぜると瞬時に固まる「水ガラス」を使う。地中に浸透させ水を通しやすい地層を「土の壁」に変える仕組みだ。1、2号機東側の海沿い約90メートルにわたり薬剤を注入。壁は二重につくり、今月末までに完成する予定だ。

だが、ここにきて汚染がさらに広がっている恐れが出てきた。最初の井戸の南約210メートルにある3号機タービン建屋海側の井戸の水は、検出限界値未満が続いていたが、11日採取の水からベータ線を出す放射性物質が1400ベクレル検出された。

近くには11年5月、タービン建屋につながる連絡通路から高濃度の汚染水が漏れた場所がある。

東電は連絡通路にたまった汚染水が原因の可能性の一つとみる。こちらも井戸を新設して監視を強める予定で「土の壁」も検討中だ。

共同通信

2013/07/15 12:00

7月16日

井戸で高濃度の放射性物質を含む水がみつかった、というのがこれまでの話だが、この一週間の間に海水も80倍になっている、ということは、ゆっくりした拡散ではなく地中からほぼそのまま海に流出している可能性が高い、ということになる。文字通りのダダ漏れである。

福島第一原発近くの港湾、放射性物質が高濃度に

東京電力は16日、福島第一原子力発電所3号機近くの港湾で、ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質が海水1リットルあたり1000ベクレル検出されたと発表した。

海水では、昨年12月に検出した同790ベクレルが、事故直後を除く最高値だった。現場は、放射性物質が周辺海域へ拡散するのを防ぐネット(水中カーテン)の内側。8日の測定では同72ベクレルだった。放射性セシウムの濃度も8日の40~50倍に上がった。

東電は「変動の範囲内の数値」とみているが、東京海洋大の神田穣太教授(化学海洋学)は「新たに放射性物質が陸側から漏れた可能性がある」と指摘。「濃度の変動が激しいので注視が必要だ」と話している。

2013年7月16日23時22分 読売新聞

7月22日

やっとこさ東電がダダ漏れを公認。でも水中カーテンがあるから、と弁明している。完全隔離すべきではないのか。「とめる、冷やす、閉じ込める」が原則だった、のも過去の話。”三本目の矢”はどこも腰砕けですなー。

放射性物質汚染地下水、東電が海への流出認める

東京電力は22日、福島第一原子力発電所の汚染水が地下水を通じて海へ流出しているとの見解を発表した。

5月以降、岸壁に近い井戸の地下水から高濃度の放射性物質が検出され、近くの海水に含まれる放射性物質の濃度も上昇したため、原子力規制委員会が「海への流出が強く疑われる」と指摘したが、東電は海への流出を認めていなかった。港湾外への影響はないと説明している。

海水の汚染は、1号機の取水口に近い場所で、放射性物質の三重水素トリチウム)が今月、1リットルあたり2300ベクレル(法定許容限度は同6万ベクレル)に達した。その現場に近い1、2号機タービン建屋の東側の井戸では、トリチウムが地下水1リットルあたり63万ベクレル検出されている。東電はこれまで「海への流出を示すデータがない」と説明してきた。

しかし、井戸の地下水位が潮の満ち引きと連動して上下しており、東電は22日、「汚染水を含む地下水と海水が行き来している」と分析、流出を認めた。取水口付近は防波堤や水中カーテンで囲われており、汚染はその内側にとどまるとみている。また、海への流出の総量は検討中としている。

(2013年7月22日21時15分 読売新聞)

7月27日

セシウム、23億ベクレル検出 福島第1の地下道、汚染水漏洩源か

福島第1原子力発電所の汚染水が海に漏れている問題で、東京電力は27日、漏洩源とみられる敷地海側のトレンチ(地下道)にたまった水から、1リットル当たり23億5千万ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。事故直後の2011年4月、海に漏れ出た汚染水と同程度の濃度で、東電は漏洩源の特定を急ぐ。

トレンチは2号機タービン建屋の地下とつながっており、事故直後に建屋側から流れ込んだ汚染水がたまっている。原子力規制委員会は汚染水がトレンチから漏れて、底部に敷き詰められた砕石の層を通じて地中に拡散しているのではないかとの見解を示している。

東電によると、海から約50メートルの地中に穴を開け、下を通るトレンチの水を26日に採取した。セシウム134(半減期約2年)は7億5千万ベクレルセシウム137(同約30年)は16億ベクレルだった。ほかに放射性ストロンチウムなどベータ線を放出する放射性物質は7億5千万ベクレルだった。

11年4月に海洋流出した汚染水は、セシウム134、137ともに1リットル当たり18億ベクレルだった。今年5月以降、トレンチ近くにある観測用井戸や護岸付近の海水からは高濃度の放射性物質の検出が相次いでいる。

2013/7/27付

7月29日

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG29013_Z20C13A7CR0000/

原子力規制委員会の検討会は29日、東京電力福島第1原子力発電所から発生する放射性物質の汚染水問題の対策を協議した。27日には海に近いトレンチ(地下の坑道)で高濃度の放射性セシウムなどが検出。規制委はトレンチの下にある砕石層からの漏洩を指摘し、追加対策や監視強化を求めた。汚染水は海へ流出しているとみられるが、東電の対応は後手に回っている。

会合では事務局の原子力規制庁が、データをもとに汚染水の拡散経路の予測結果を公表。コンクリート製のトレンチからの漏洩だけでなく、トレンチの下にある砕石層を通じて放射性物質が広がっていると指摘した。

規制委は砕石層の周囲に井戸を掘り、汚染水の拡散状況の追加調査を早急に実施することを東電に要請。砕石層に薬液を注入して地下水への漏洩を止める対策も求めた。規制庁の担当者は「監視を強化し、海洋生物への影響も把握する必要がある」と注文をつけた。

福島第1原発では事故直後、放射性物質が敷地内の原子炉周辺にまき散らされたが、汚染調査は放射線に阻まれて進んでいなかった。最近になって海側の地下が高濃度に汚染されていることが確認された。

東電は護岸沿いに地中で固まる薬液を注入し、海への漏洩を止める作業をほぼ終えた。汚染源とみられているトレンチから水を抜き取り、トレンチを埋める作業も9月から本格化するが、砕石層を通じて汚染水が広がっているとすれば新たな対策を求められる。

福島第1原発では海側の汚染地下水問題のほか、原子炉の冷却水に地下水が混じり込んで発生する汚染水も増え続けている。保管場所などの問題を抱えており、東電は対応に忙殺されている。

2013/7/29 11:25

8月10日

土の壁越え、原発の汚染水流出 地下水上昇し海側に

福島第1原発の汚染水流出問題で、東京電力は10日、海への流出防止のため地下に設置した「土の壁」から約2メートル山側の地下水の水位を測ったところ、壁を越える高さだったと発表した。周辺の地下水からは高い濃度の放射性物質が検出されており、東電は「汚染された水が壁を乗り越えて海側に流出している可能性が高い」としている。

土の壁は護岸の地盤を薬剤で固めて、汚染水が海へ流れ出さないようにする仕組みだが、地表から深さ約1・8メートルまでは薬剤がうまく注入できず壁をつくることができないため水が通過する。これに対し、10日に測定された地下水の水位は地表から深さ約1・2メートル。

2013/08/10 22:25 【共同通信

子供の頃に運動場などの傾斜した所で川を作ってダムを作ったりしたことがある人ならばだれでもわかると思うが、せき止めれば水はあふれる。「汚染された水が壁を乗り越えて海側に流出している可能性が高い」というコメントが呆れるほど低能なのは、要するに子供が「ダム作ったけど水があふれちゃった」という程度の内容だからである。